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会社のために一生懸命働いてきた夫の涙
山崎弘子(秦)
■納得できぬ懲戒解雇
「リストラや。俺は給料が高いから一月二〇日付でクビやといわれた二一月一六日夜八時、東京本社に呼び出された主人からの電話でした。主人は四五歳。鳥羽のホテルで一〇年近く料理長として働いていました。私も昨日九月まで大阪で働いており、別居生活をしていましたが、主人も鳥羽で落ち着く覚悟でいましたので、昨年伊勢で土地を購入し、家の設計図面も完成し、この二月末から着工、七月には完成、やっと夢が叶うと胸踊らせていた矢先の出来事でした。テレビや雑誌でリストラされた方のことがよく取りあげられていましたが、同情する気持ちはあっても、まさか自分たちの身にそんなことが降りかかってくるとは、主人も私も思ってもいませんでした。充分な説明もなく、もちろん今後の生活に対する会社側の誠意も全くなく、まるで懲戒解雇のように、たった一〇分程度で私たちの生活を狂わせてしまった会社に対して、納得いくはずもなく、とどまることなく腹が立ち二月一六日は今までの人生の中で一番長く、辛くて苦しい夜でした。その次の日から主人は直属の上司である支配人に対して、納
得のいく説明をしてほしいこと、退職の意志はないことを伝えましたが、そんなことは無視されたまま、退職の手続きがすすめられてゆきました。私たちはもうどう対処していいかわからなくなり、知人の紹介で一月二〇日弁護士事務所を尋ねました。
■無駄な弁護士への相談
私たちは弁護士に相談すれば、今回の不当解雇に対してどう対処すればいいのか、何らかのアドバイスをしてもらえる、場合によってはお金がかかっても弁護士に入ってもらって、話をすすめたいという思いでした。私たちの話を聞いて、弁護士は、「リストラは今世間ではよくある話です。解雇予告手当を払えば不当解雇にはなりません」。そして弁護士を入れればお金も時間もとてもかかるから、そんな無駄なことはやめて、再就職の口を探した方が賢明だというような話をしました。私たちの立場など全く理解してくれそうもない弁護士に、五万円の相談料を払いました。
その夜、私は主人の涙を見ました。今まで会社のためにと主人なりに一所懸命働いてきたのに、何故こんな形で解雇されなくてはいけないのか、納得がいかないと言いました。もうこの時は、会社に未練があるわけでなく、会社側に不当解雇だということを認めてもらい、それに対する会社の誠意を見せてもらいたいという気持ちでした。それから五日後、私は一人でもう一度弁護士を尋ねました。私たちは二人でも会社と闘うつもりでおりましたが、先ず今何をすればいいのかも分からず、余り期待はしませんでしたが、もう一度弁護士に何をすれば会社と闘えるかを相談しました。内容証明というもので、今回の解雇は納得できないという旨のことを会社に送ればいいと、答が返ってきましたが、私は内容証明というものの用紙も見たことがなく、ましてや書式もわからず、途方に暮れてしまいました。弁護士事務所を出たら、雨が降っていました。傘を持っていなかったので、雨に降られながら、「五万円はドブに捨てたと思おう」と、惨めな思いで歩いたのを覚えています。三年ほど前、まだ〝リストラ〃という言葉が今ほど耳慣れないころ、私は以前勤めていた会社で、リストラにあっていました。当時、売上低迷から人件効率が非常に悪く、人件効率の見直しが計られ、その結果西日本の責任者が行ったのがリストラです。それは余りにもひどいものでした。
先ずは責任者の好き嫌いというところから始まりました。取るに足らないようなことをオーバーにとりたてて解雇につなげるようなやり方で、何人の部下が解雇を告げられたかわかりません。そんな時、私は友人から「管理職ユニオン・関西」のことを聞いたことがありました。
実際に配られたビラも二度見たことがありました。一月二五日、弁護士事務所からの帰り道、雨に降られながら私は〝管理職ユニオン〃のことを思い出しました
■管理職ユニオンに加入し団体交渉へ
早速、電話番号を調べて、管理職ユニオンに電話をすると、「お急ぎだったら直ぐに来て下さい」といわれ、私はタクシーに飛び乗り、ユニオンの事務所に伺いました。仲村書記長は私の話を聞くや否や、「不当な解雇ですね」と言われ、その場で主人に電話し組合への加入をお願いしました。再度、主人と一緒に訪問した時は早速会社への申入書を作り、内容証明の用紙と見本を渡され、すぐに投函するよう言われました。これで会社を土俵′に上げて、闘う機会が作られたと実感しました。
第一回目の団体交渉は解雇の理由を納得いくよう説明して頂きたいという主旨でしたが、私が以前経験したように、取るに足らない項目が並べられているだけでした。私たちはたまたま〝管理職ユニオン〃に加入し会社の解雇の理由に正当性がないことを認めさせ満足できる結果を引き出させました。しかし、リストラされた殆どの方は途方に暮れて泣き寝入りされているのだと思います。〝管理職ユニオン〃の事務所に伺うことができたことは、ある意味で私たちにとってとてもラッキーなことだと思います。今はまだ再就職の目途はついていませんが、働く所が決まった時は、 一番に仲村書記長にご報告に伺うつもりです。
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私たちは、あらゆる不公正・いわれ無き格差と戦います。
