人々の闘い
メンタルな問題を抱え出社が困難に

中堅ゼネコン会社勤務池上貴人(37歳)
 
■上司の交代から
私は中堅ゼネコンに途中入社し、支店で総務の仕事を担当しておりました。入社当時は幸いなことに上司・同僚などの人間関係にも恵まれて、順調に仕事をこなしていたのですが,入社三年目に、これは珍しいことですが、上司とその上の上司の両方が人事異動で転任することとなり、後任の方は業務があまり分かっておらず、必然的に私の負担が増えることとなりました。前任者のやり方を踏襲せず否定したため、仕事のやり方もガラリと変わり、また一方で独身寮の寮長を任され、後輩をまとめる立場にありましたので、何かと神経をすり減らす日が続きました。そして今から考えてみますと、肉体的にも精神的にも知らず知らずのうちに疲労が蓄積していったのでしょう。だんだんと夜眠れなくなっていました。
また支店から離れた工事現場での仕事も増え、独身寮の新しい寮母さんとそりが合わないこともあり、ますますストレスがたまってゆきました。
そして,ある日を境にひどい欝状態に陥り、それまで読んでいた朝刊に全く目を通すことができなくなり、体力もどんどん落ちてゆきました。
不眠がずっと続くうちに,思考能力もどんどん落ちてゆき、会社へは何とか行くのですが、頭が働かない状態で,まともに仕事をこなせる状態ではありませんでした。自分で何とか精神科を受診し,診断を仰ぎましたが,担当医師は,最初は「不眠症」、ついで「神経症」と診断し,カウンセリングもほとんどなく投薬のみで、経過を説明しても本気で取り合って貰えませ
んでした。上司の計らいでしばらく会社を休みましたが、状態は余り変わりませんでした。
 
■転勤の辞令
何とか出社しては休み,の繰り返しが続き、そうこうするうちに転勤の辞令が出たので、とても新任地へ行ける状態ではなく,自宅へ戻り寝たきりの生活が続きました。そして、健康保険の傷病手当金を貰いながら,治療をつづけましたがなかなか良くならず、ドクター・ショツビングの毎日でした。会社からは時折状態を聞かれており、手当金が切れたあと、辞めて欲し
い旨言われました。そこで思考能力が余りない状態で本屋へゆき、たまたま管理職ユニオンの出版物を見つけ、すぐに藁にもすがる思いで電話連絡し伺いました。仲村書記長にこれまでの経緯を話し、相談に乗って頂き、さっそく会社へ連絡をとっていただきました。
最初と二回目の交渉で、会社より一ケ月相当分の退職金支払いを条件に、退職を求めてきましたが、仲村書記長、同席いただいた労働法規に明るい組合員の方のご尽力で撤回させ、病気治療のため無給ながらも一年間の休職適用を受けることになりました。そして、休職期間満了
の四ケ月前、会社の業績がかんばしくないために、全社員を対象とした「早期転身援助制度」(いわゆる希望退職です)が創設され、休職中の私にも打診がありました。
 
■ユニオンの事務所は安息の場
この頃になると、お陰様でだんだんと体調も回復軌道に乗りつつあり、業界の将来展望・会社の体質、そして自分のこれからの人生を考え併せた末、受け入れを決断、十二月末で退職いたしました。ほぼ一年にわたる会社との闘い、同時に病との闘いもあり、大変苦しい思いをしたのは事実です。そんななかで、 管理職ユニオン・関西には本当にお世話になり、感謝の気持ちで一杯です。
居場所が全くなかった私にとりまして、ユニオンの事務所はホッとできる唯一の場所であり,私よりもっと苦しい逆境におられる組合員の方のお話を伺ったり、他の組合員の方の団体交渉へ応援(といってもほとんど何も力になれませんでしたが--)へ行ったり、交流会へ呼んで頂いたりと,会社の中の世界しか知らなかった私でしたが、自分のものの見方・考え方の幅をいくぶんか広げることができ、有り難く思っています。
また,仲村書記長には良き主治医を紹介していただき、カウンセリングを受けることで、自分がどんどん癒されていくことが分かりました。これまで日本経済を支えていたというべき三種の神器である終身雇用・年功序列・企業内組合は、 グローバル・スタンダードというアメリカ流の新価値観と不況の長期化により、急速に形骸化しっつあります。頑張った人に報
いる制夢と言えば二見良さそうにも聞こえますが、反面働く者にとってはますます厳しい状況になることは否定できません。
管理職ユニオン・関西 のような個人加盟の労働組合の存在意義は、今後ともますます大きくなると私は考えております。最近理不尽ないじめなどにより、心の病にかかる人が増え、かからないでも心身ともに疲れ切っている人がほとんどではないでしょうか。私自身、まだ体慣らしの段階であり、たいしたことはできませんが、メンタルヘルスに苦しむ方に、いくらか
の助言はできると考えています。最後になりましたが、理不尽な会社の仕打ちで悩んでいる人へ、「自分の人生は会社のためにあるのではなく、自分のためにある。泣き寝入りせず、勇気を出してユニオンの門を叩いて下さい。


 
私たちは、あらゆる不公正・いわれ無き格差と戦います。