人々の闘い
降格人事と大幅減給

アパレル会社勤務谷口猛(48歳)
 
■突然の降格人事
私、四八歳。二六年四ケ月、アパレルの会社に勤務。長年営業に在籍の後、品質検査室次長でした。生涯忘れることのできないその日、五月二一日。長い会社人生において、それはまさしく驚天動地、青天の爵産の最悪の日であった。いつもより少し時期遅れの人事異動発表は、今にして思えば、何となく暗い兆しを坊裸とさせるものがあったように思う。発表と同時に配布された組織表をおもむろに眺めていたが--当然いつものあるべきポジションの箇所に私の名前がない.私の見落としなのか。会社のミスプリントなのか。いささか慌てる。しかしどう見てもない。
ようやく見つけた箇所は、 一般社員としての欄であった。そして職務内容は変わらないのに、冠は以前の業務部より物流部へと、これもとってつけたように部署名が変わっていた。これまでの次長職から一挙に四段階の降職。荘然自失。その時、人事部よりの呼び出しがあり、人事部長より、さらにショッキングな処遇についての通達と意味不明ともいえる説明があった.来る一〇月一日より、給与は総支給額計算で二五% (約二一万円相当)のカット.それに伴い、さらに(職能資格位で給与内容と身分のグレードを示す)主事級の剥奪。その時が来るまでは、誰もが思うことでしょう。それは私以外の他人事。自分自身にこのようなことが起こる訳がない。でもそれはまさしく今突然に私に降りかかってきたのです。何故この私が?どうして?
 
■人件費削減
失望感の中、特にこの数年間の会社での自分を駆け足に振り返る。何か落度が?いやない。あえて言うなら四年前に急性心筋梗塞で倒れるという障害が起きた。しかし、その後休むことなく、また会社へも支障なく勤め上げている。ふと我に返ったとたん、矢継ぎ早に今回のひどい仕打ちとも言える処遇について、私の口から人事部長へ次のうような質問が飛んでいた。
① 私に何か懲戒・懲罰に相当するような理由があったのか。
② 勤務にさしさわりのあるといったような心身に著しい耗弱な面が見受けられたのか。
③ 勤務成績や勤務態度に著しい不良個所があったのか。

これらに対しての人事部長の回答はいずれも「否」であった。では一体何が理由なのか。会社側からは、ここ近年の会社のぬきさしならない経営状態をよく理解して欲しい。つまり、一〇年間赤字で今期も二〇億円の欠損が生じ、かなり苦しい。よってまずあなたも含め四名(他の三名はいずれも部長クラスで、五〇歳代であり、処遇も私と同様であった)には、その意味するところを理解して欲しい。特に子会社の物流センターも近々実施するが、まず物流部門の経費を大きく圧縮する。当然人件費の圧縮はいうまでもないとのこと。以上が処遇の正式理由とすると、社員への冒涜であり、余りにも単純かつ軽率で、大きな怒りがこみあげてきた。仮に、今後理不尽な条件を白紙撤回させて会社に残るにせよ、はたまた勝利を獲得した後に退職するにせよ、今ここでファイティングボーズをとることを忘れてしまえば、次のステップや後の自分の人生はない。ただ確証と確固たる信念をもつためにも、その後一週間ほどは労働問題やリストラに関する書物を読み漁り、さらに万が一の、また精神的にも大いなる頼みとして、管理職ユニオン・関西の門戸を叩いたのです。そして仲村書記長のご意見と適切なアドバイスを頂戴しっつ、先ずはぎりぎりまで自分で交渉をしてみることで、静かながらも熱い戦いの幕が切って落とされたのです。
かくしてこの七月末にほぼ私の意図するところの通常退職金に年収二年分の上乗せ割増金を唱えてきましたが,いろいろの状況・環境を鑑みて、最終月給の二四ケ月分上乗せにて、自分の納得するところとし、話をまとめました。もちろんのこと、理職ユニオン・関西の名前も,ここという時にはちらつかせながら、にわか仕込みとはいえ、覚えたての専門用語と法
律知識を精一杯出しつつ、書面でもって二度、抗議を行ってきました。
ただ残念ながらというしかないのですが、意外と会社経営者は労働問題と法律知識に見識がないのが実態です(これも私にとっては攻め所となったと思います)。だからこそ、単純にも誰が判断しても理不尽と思えるような行動と言葉を出してくるのです。それ故ことさら我々は熱いなかにも、クールに対応してゆくことこそ肝心と痛感しました。


 
私たちは、あらゆる不公正・いわれ無き格差と戦います。